遺品整理を自分の手で行う。その手順と方法、失敗しないコツ

「遺品整理」は、人が亡くなると必ずやることになります。

遺品の量は、暮らしていた人や部屋数によっても異なり、例えば亡くなった方が日頃から不要なものを溜め込まず、片付けをしてた方なら遺品もそこまで多くないでしょう。
しかし、物を捨てれない方だったり、掃除や片付けが苦手な方だと遺品の量は多くなります。また、故人が賃貸物件に1人暮らしだった場合も、そこまでの量にはならないかと思いますが、一軒家の場合だと部屋数が多くなるので、それだけ大量の遺品の量になることが容易に考えられます。

最近は、遠方に住んでいたり、仕事をしていてゆっくり時間がとれないなどの理由で、遺品整理業者に依頼する方も増えてきています。

ここでは、時間をかけてもいいから自分の手で行いたいという方のために、業者に依頼せず自分で行うときの手順と方法、そして失敗しないコツをお伝えしていきます。

1.遺品整理を自分で行う前にやるべきこと

●遺品整理を行う部屋(お家)を見に行き、自分の目で確認する

まずは自分で遺品整理を行う現場を見に行き、実際どのような状態か確認することが必要でしょう。自分の目で確認することで本当に全ての作業を自分だけで行えるか、一部の作業は業者に依頼した方が良いかなど、しっかりした計画を立てることができます。
また、部屋で孤独死や事故、事件などで亡くなった場合は、状況次第では特殊清掃が必要となるケースもあります。
その場合は部屋自体に入室することはできないので、迷わず特殊清掃業務も請け負っている遺品整理業者を探しましょう。

●親族(相続人)に遺品整理を行う旨を連絡する

遺品整理を行なううえでトラブルになりがちなのが、親族間での相続トラブルです。
他の相続人に何の連絡もしないまま勝手に遺品整理を始めるのはやめましょう。
連絡をするさいは、「いつ」「何時ごろから」「どのような作業方法で」など具体的な詳細を伝え、相続人が複数いる場合は必ず全員に連絡し、承諾を取るようにして下さい。

また、遺品整理は一人で行うには大変な作業ですので、協力してくれそうな親族がいたら、協力をお願いするのも良いでしょう。

●遺品整理を終わらせる期限を決める

遺品整理を始める前に、相続人が複数いる場合、相続人全員に遺品整理を行なうことを伝えなければなりません。
相続人と相談しながら遺品整理を始める日にちを決めましょう。
また、遺品整理を終わらせる期限を明確に決めることで、より計画的に遺品整理を行なうことができます。
賃貸物件の場合は、部屋の片づけが終わり、明け渡すまで家賃が発生してしまうため、ゆっくり作業を行うことは難しいかもしれませんが、くれぐれも無理のない範囲で行いましょう。

2.自分で遺品整理を行なう際の服装と必要なもの

遺品整理の作業には色々なものが必要となります。作業を始めてから足りないことに気づき慌てて買いに行くことがないように、事前に必要なものをメモし、あらかじめ準備しておきましょう。

●作業着、マスク、帽子(頭巾など)軍手、室内履き、靴下

遺品整理は長年閉まってあったり、動かしていない家具などを動かす作業もするため、かなりのホコリがたつのでマスクは必須です。何枚か多めに用意しておきましょう。
身長より高い場所を片付けるときを考えて、頭を守る帽子や頭巾も被ると良いでしょう。

また、作業中は立ったり座ったりとよく動きますので、ストレッチがきいてるような動きやすい服装で尚且つ、通気性が良く、汚れてもいい服装が好ましいです。
手や足をケガから守れるように、必ず手は軍手、足はスリッパなどの室内履きと靴下を履いて作業するようにしてください。

●段ボール、ガムテープ、油性マジックペン

段ボールは仕分けのときに中身を入れるのに一番便利です。あまり大きすぎると持ち運びの時に大変ですし、異なったサイズばかりだと積み上げるのも大変です。
段ボールのサイズは2〜3種類にしておきましょう。
ガムテープも必須アイテムです。手で簡単に切れる種類が手間が省けて良いでしょう。

また、仕分けの際に「必要な物」と「不要な物」をガムテープの色で分けてあると、ひと目でどちらか分かるので2種類用意すると尚便利かと思います。何が入ってるかをガムテープに書いて貼ることもできます。

遺品整理の作業には、段ボールの中身を書く作業が多くあります。

そんなとき、便利なのが油性マジックです。
最近は、キャップのないマジックも100均などで売られており、そちらがおススメです。用意する時は太文字が書けるタイプの物を選びましょう。

●カッターナイフ、ハサミ、紐や結束バンド

本や雑誌、布団などをまとめるときに紐があると便利です。
また、収納ラックなどの固さのある家具等を分解したときにポールを縛るのには結束バンドが役立つので、そちらも用意しておきましょう。
カッターナイフとハサミも必要となるので、用意しておいた方が良いでしょう。

●ドライバーやペンチなどの工具

これらはベッドや食器棚などといった家具を分解・解体する時に必要になります。自力で分解、解体できる家具はしておくと運び出しが楽になります。
また、長年使っている家具は場合によっては金具が錆びて抜くのが困難だったりするので、ペンチがあると便利ですよ。

注意点として、分解や解体をする時は想像以上に大きな音がするので、作業は昼間など明るい時間帯に行うなど近隣に配慮しながら行ないましょう。

●ゴミ袋

遺品整理はいろんな種類のゴミが大量に発生します。自治体の決まりに合わせてゴミ袋を沢山用意しておきましょう。

ゴミ袋のサイズとしては、一般的な45ℓから60ℓ、70ℓといった大きいサイズのゴミ服は布団などを入れたりするのに役立ちます。ゴミ袋は家電などのホコリよけとしても使えます。

●台車

台車は重たい荷物を運び出す時に便利です。しかし、台車は動かす際にかなり大きな音が出るため、使用する時間帯には気を付けましょう。
また、トラブルを避けるためにも事前に台車を使用する旨を近隣に伝えておくこともおすすめします。

3.作業の計画を立てる

遺品整理を行なう前に、事前に計画を立てておけば、スムーズに作業を進めることができます。
ここでは、どのように計画を立てると良いか、いくつか方法をお伝えします。

●簡単な間取り図を描く

遺品整理を行なう部屋の間取り図を簡単で構わないので紙に描いてみましょう。
間取り図を描いたら、そこに家具や家電などが配置されている場所を描いていきます。

部屋数が多ければ多いほど、簡単な間取り図でもどの部屋にどんな家具が配置されているのか、把握できるので作業が楽になりますよ。

●収納の中の物を書き出す

こちらも簡単で構わないので、クローゼットや押し入れの中に何が入ってるか、書き出しておくと後々の作業がスムーズになるのでおすすめです。
例えば、押し入れの上段に衣服、下段に写真やアルバム、といった内容で良いでしょう。キッチンや食器棚の戸棚も、乾物類、大鍋類、タッパー類などと書き出しておくのもおすすめです。

●作業する順番を決める

いざ遺品整理を行なおうとしても、どこから手を付けて良いのか分からず、あちこちに手を出した結果、全ての部屋が中途半端になったという話も耳にします。
そうならないためにも、事前に作業を行う部屋の順番を決めておきましょう。

例えば、「今週はダイニングキッチンを片付ける」「次回はリビングを」と、順番を決めることで、気持ちや作業にもメリハリがつき、仕分けもしやすくスムーズです。
また、数人で作業を行う場合は、相談し合いながら部屋の割り振りをすることをおすすめします。

4.遺品を3つのカテゴリーに仕分けする

ここから、いよいよ実際に作業をしていきます。まず最初に行う作業は「遺品の仕分け」です。
仕分けの作業をスムーズに行うために、遺品を大きく3つのカテゴリーに分けます。

以下でカテゴリー別にお伝えしていきます。

①残すもの(貴重品、形見品、思い出深い品)

まず最初に、残すものを選択していきます。
相続に必要な書類や現物、思い出の品などがこれにあたります。

【残すものの例】
●通帳
●クレジットカード
●キャッシュカード
●印鑑
●現金
●有価証券(株式、債権、手形など)
●身分証明書(マイナンバーカード、パスポートなど)
●土地などの権利書関係
●契約書類
●健康保険証
●貴金属
●美術品、骨董品
●手紙
●写真
●故人が生前、大切にしていた物や愛用していた物
●供養したいもの(神棚、仏壇、人形など)

濡れると破れたり、破損する恐れのある書類や手紙、写真などはクリアファイルやファスナー付きのケースなどに入れて保管するのをおすすめします。

②リサイクルできるもの

まだ使えるものは処分するのではなく、活かすことを考えるのも一つの方法です。
リサイクルショップやネットオークション、フリマアプリなどに出品したり、寄付する方法もあります。

【リサイクルできるものの例】
●大型家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
●小型家電(電話機、携帯電話、炊飯器、電子レンジ、掃除機など)
●家具(タンス、ソファー、ベッドなど)
●衣類
●金属類(新しめの鍋、フライパン、ゴルフクラブなど)

③ゴミとして処分する不用品

まずゴミは自治体ごとのルールに従って、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「粗大ゴミ」など分別していきます。
また、ゴミの処分は自治体が指定した場所と日時に従って処分してください。ちなみに、焼却場に問い合わせて直接持っていく方法もあります

【分別の例】※自治体によって異なるので、事前に確認してください
●燃えるゴミ(台所ごみ、紙くず、衣類、ゴム類、食用油など)
●燃えないゴミ(金属、陶器、ガラス、電球、小型家電など)
●資源ゴミ(古紙、びん、缶、ペットボトル、乾電池、カセットボンベなど)
●粗大ゴミ(家具、寝具、自転車など)

ごみを処分する際に気を付けたいのは、回収不可能のごみがあるということです。
自治体によっても異なりますが、例えば、エアコン、テレビ、洗濯機(衣類乾燥機含む)、冷蔵庫、これらは家電リサイクル法という法律があるため、自治体で回収はできません。
また、土や石膏ボード、タイヤなどは処理困難物にあたるため、ゴミ袋に入れても、ごみ集積場に出すことはできないため、事前に自治体に問い合わせてください。

5.相続人で遺品を分配、形見分けする

遺品整理の仕分け作業が終わったら、残った資産価値のある遺品を相続人で分配していきます。
貴金属や骨董品などは現金化して振り分けることを、後々のトラブルを避けるためにもおすすめします。もし、遺言書があれば遺言書の内容通りに遺品を分配する必要があります。

資産価値のある遺品は全て相続人全員に必ず伝えてください。
資産価値があるものないものに限らず、親族同士で形見分けとして遺品を分けるのも良いでしょう。

【形見分けの例】
●故人が大切にしていたアクセサリー
●衣類
●故人が愛用していたカバンやお茶碗、湯呑など
●時計
●本などの書籍

6.清掃

遺品の片づけ、分配も終えたら最後は清掃作業です。賃貸物件の場合は原状回復する必要があります。
賃貸物件の場合は、作業を始める前に事前に解約手続きを済ませておきましょう。

持ち家の場合でも売却するのか、リフォームして新しい家族が住むのか、いずれにしても清掃作業は必要となります。
清掃といってもさまざまでハウスクリーニング業者に依頼する方法もありますが、自分で行う場合はホコリを落としたり、床の拭き掃除など年末にやる大掃除をイメージして作業すると良いでしょう。
すぐに使わない部屋や持ち家の場合は、湿気がこもりカビの発生を抑えるためにも全ての扉は開けておくようにします。

押し入れなどの襖は取り外し、壁に立てかけておく。クローゼットやトイレ、お風呂場といった扉は何かの拍子で閉まらないように、ストッパーや新聞紙などを挟んでおくと良いでしょう。
家具などを置いたままにする場合には、埃除けとしてカバーをかけておくと後々が楽になります。

7.遺品を供養してもらう

神社や寺院で依頼すれば、お焚き上げしてもらえます。
神棚や仏壇といった供養してほしい遺品の他に、一度はごみとして処分しようとしていた遺品の中にも、やっぱり供養してもらいたいと思う品が出てきたりします。

故人の愛用していた品を供養してもらうことにより、遺族が前に進むきっかけに繋がることもあるので、もし心残りがある場合はおすすめです。ただし、お焚き上げの料金や、お焚き上げが出来ない品はそれぞれの神社、寺院によって違いますので事前に確認が必要です。

以上、遺品整理を自分で行うときの手順と方法。失敗しないコツをお伝えしました。

最初にもお伝えしましたが、遺品は予想を超える量です。

いざ、自分たちで始めてみたものの終わりが見えない、退去の期限に間に合わないかも・・・など困った場合は迷わず遺品整理の業者に見積もりの相談をすることをおすすめします。


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